鉄分の多い食べ物は?効果的な摂取方法や美容との関係、1日の摂取量目安を解説
鉄分は、血液の主成分である「ヘモグロビン」をつくる材料となり、全身へ酸素を運ぶ役割を担う重要なミネラルです。
成人の体内には約3〜5g存在し、私たちのエネルギー産生や健康維持を支えています。
体内の鉄分が不足すると、ヘモグロビンを十分につくることができなくなり、「鉄欠乏性貧血」を引き起こします。
しかし、鉄分は体内で合成できず、毎日少しずつ失われていくため、日々の食事から意識的に補う必要があります。
そこで知っておきたいのが、食品に含まれる鉄分には「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」の2種類があるということです。
まず、「ヘム鉄」は主に肉や魚などの動物性食品に含まれており、体内への吸収率が高いのが特徴です。
一方で、野菜や大豆など植物性食品や卵などに含まれるのは「非ヘム鉄」と呼ばれます。
「非ヘム鉄」は、体内への吸収率が低く、ビタミンCやたんぱく質が豊富な食品と一緒に食べることで体内への吸収率を高めることができます。
効率よく鉄分を補うためには、これら2つの性質を理解し、上手に組み合わせることが大切です。
こちらのコラムでは、鉄分を多く含む食品や鉄分の働き、1日の摂取量目安、効果的な摂取方法、鉄分不足や過剰摂取による影響、美容との関係などについて解説していきます。
目次
鉄分を多く含む動物性食品
日常の食事で取り入れやすく、鉄分を多く含む「動物性食品」は以下です。
| 食品名 | 鉄分含有量(100gあたり) |
|---|---|
| あさり缶詰 水煮 | 30.0㎎ |
| 豚スモークレバー | 20.0㎎ |
| かたくちいわし(煮干し) | 18.0㎎ |
| 干しえび | 15.0㎎ |
| 豚レバー | 13.0㎎ |
| 鶏レバー | 9.0㎎ |
| しじみ(生) | 8.3㎎ |
| 豚レバーペースト | 7.7㎎ |
| 牛レバー | 4.0㎎ |
| コンビーフ | 3.5㎎ |
| 和牛肉(もも/赤肉/生) | 2.8㎎ |
鉄分を多く含む植物性食品
日常の食事で取り入れやすく、鉄分を多く含む「植物性食品」は以下です。
| 食品名 | 鉄分含有量(100gあたり) |
|---|---|
| あおのり(素干し) | 77.0㎎ |
| 岩のり(素干し) | 48.0㎎ |
| 乾燥きくらげ | 35.0㎎ |
| 煎茶 | 20.0㎎ |
| 純ココア | 14.0㎎ |
| 焼きのり | 11.0㎎ |
| 大豆 | 9.0㎎ |
| 小松菜(生) | 2.8㎎ |
【カテゴリー別】鉄分を多く含む食品
日常の食事に取れ入れやすい鉄分を多く含む食品を、カテゴリー別に見ていきましょう。
野菜類

| 食品名 | 鉄分含有量(100gあたり) |
|---|---|
| パセリ葉(生) | 7.5㎎ |
| ドライトマト | 4.2㎎ |
| 小松菜(生) | 2.8㎎ |
| 枝豆(生) | 2.7㎎ |
| サラダ菜 | 2.4㎎ |
| ほうれん草(生) | 2.0㎎ |
果物類

| 食品名 | 鉄分含有量(100gあたり) |
|---|---|
| 干しぶどう | 2.3㎎ |
| 乾燥いちじく | 1.7㎎ |
| ラズベリー | 0.7㎎ |
| アボカド | 0.6㎎ |
| 干し柿 | 0.6㎎ |
| パッションフルーツ | 0.6㎎ |
魚介類

| 食品名 | 鉄分含有量(100gあたり) |
|---|---|
| あさり缶詰 水煮 | 30.0㎎ |
| かたくちいわし(煮干し) | 18.0㎎ |
| 干しエビ | 15.0㎎ |
| まいわし | 2.1㎎ |
| まぐろ(きはだ) | 2.0㎎ |
| かつお | 1.9㎎ |
肉類

| 食品名 | 鉄分含有量(100gあたり) |
|---|---|
| 豚スモークレバー | 20.0㎎ |
| 豚レバー | 13.0㎎ |
| 鶏レバー | 9.0㎎ |
| 豚レバーペースト | 7.7㎎ |
| 牛ビーフジャーキー | 6.4㎎ |
| 牛レバー | 4.0㎎ |
海藻類

| 食品名 | 鉄分含有量(100gあたり) |
|---|---|
| あおのり(素干し) | 77.0㎎ |
| 岩のり(素干し) | 48.0㎎ |
| 刻み昆布 | 8.6㎎ |
| 乾燥わかめ(素干し) | 5.8㎎ |
豆類

| 食品名 | 鉄分含有量(100gあたり) |
|---|---|
| 大豆 | 9.0㎎ |
| がんもどき | 3.6㎎ |
| 油揚げ | 3.2㎎ |
| 木綿豆腐 | 1.5㎎ |
| 絹ごし豆腐 | 1.2㎎ |
| 豆乳 | 1.2㎎ |
鉄分の働き
鉄分は、血液の主成分である「ヘモグロビン」をつくる材料となり、全身へ酸素を運ぶ役割を担う重要なミネラルです。
体内の鉄分は、主に「機能鉄」と「貯蔵鉄」に分類されます。
機能鉄とは
機能鉄は体内にある鉄分の約70%を占め、主に血液(ヘモグロビン)や筋肉(ミオグロビン)の構成成分です。
最大の役割は「酸素の運搬・保持」です。肺で取り込んだ酸素と結びつき、全身の組織へ送り届けたり、筋肉中に蓄えたりすることで生命活動を支えています。常に消費される性質があるため、不足すると貯蔵鉄から補給されますが、体内の酸素を循環させるために欠かせない中心的な鉄分です。
貯蔵鉄とは
貯蔵鉄は、体内の鉄分の約25〜30%を占め、不足に備えて蓄えられている鉄のことです。
主に肝臓、脾臓、骨髄などにストックされており、血液中の機能鉄が不足した際に、それを補うために供給される仕組みになっています。
鉄分は1日にどれくらい摂取するべき?
1日あたりの推奨される鉄分摂取量は、厚生労働省により下記のように定められています。
—「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書
女性の場合は、月経の有無によっても推奨される摂取量が異なります。
| 鉄の食事摂取基準(㎎/日) | |||
|---|---|---|---|
| 年齢等 | 男性 | 女性 | 女性(月経あり) |
| 0~5(月) | – | – | – |
| 6~11(月) | 4.5 | 4.5 | – |
| 1~2(歳) | 4.0 | 4.0 | – |
| 3~5(歳) | 5.0 | 5.0 | – |
| 6~7(歳) | 6.0 | 6.0 | – |
| 8~9(歳) | 7.5 | 8.0 | – |
| 10~11(歳) | 9.5 | 9.0 | 12.5 |
| 12~14(歳) | 9.0 | 8.0 | 12.5 |
| 15~17(歳) | 9.0 | 6.5 | 11.0 |
| 18~29(歳) | 7.0 | 6.0 | 10.0 |
| 30~49(歳) | 7.5 | 6.0 | 10.5 |
| 50~64(歳) | 7.0 | 6.0 | 10.5 |
| 65~74(歳) | 7.0 | 6.0 | – |
| 75以上(歳) | 6.5 | 5.5 | – |
鉄分を効率よく摂取する方法は?
鉄分は、摂取方法を少し工夫するだけで、体内への吸収効率を高めることができます。
吸収率を上げるものと一緒に摂取する
特に「非ヘム鉄」は、体内での吸収率が低い性質があります。
ビタミンC(果物・緑黄色野菜)や動物性タンパク質(肉・魚)と一緒に摂取することで、吸収率を高めることができます。
吸収を妨げる成分との摂取は避ける
コーヒーや紅茶に含まれるタンニン、玄米に含まれるフィチン酸などは、非ヘム鉄の吸収を妨げます。食事中や食後すぐの摂取は控えるのが理想的です。
また、インスタント食品などに含まれる食品添加物も、鉄分の吸収を妨げる要因となるため、注意しましょう。
鉄製器具で調理する
鉄製の鍋や鉄フライパンを使用して調理をすると、器具から微量の鉄分が食材に溶け出します。そのため、手軽に鉄分量をアップさせることができます。
鉄分の不足や過剰摂取の影響
体内の鉄分が不足すると、全身へ酸素を運ぶ役割をもつヘモグロビンが十分につくれなくなり、「鉄欠乏性貧血」を引き起こします。
その結果、全身が酸素不足の状態に陥り、体のだるさや息切れ、顔色の悪さといった症状があらわれるほか、筋肉のエネルギー不足による筋力低下を招きます。
日常の食事では、鉄分の過剰摂取が問題となることはほとんどありません。
しかし、サプリメントなどによる過剰摂取によって様々な副作用が引き起こされる可能性があるため、注意が必要です。
鉄分と美容の関係
鉄分は健康を保つだけではなく、美容にも深く関係しています。 体内の鉄分が不足すると、肌や髪、爪に悪影響を及ぼします。
鉄分不足は、体内でのコラーゲン合成を妨げます。コラーゲンの減少により肌全体を支える力が弱まり、肌のハリがなくなるほか、シワやたるみの原因となります。
さらに、鉄分は全身に酸素を運ぶ「ヘモグロビン」をつくる材料でもあります。鉄分が不足して細胞が酸欠状態になると、肌の代謝サイクル(新しい皮膚が生まれて古い皮膚がはがれ落ちるサイクル)が乱れます。古い角質が残ることで顔全体がどんよりとくすんで見え、「化粧ノリの悪さ」や「顔色の冴えなさ」を招くほか、排出されるべきメラニン色素が肌に沈着しやすくなり、「シミ」の原因にもなります。
また、髪のコンディションにもダメージを及ぼします。健康な髪をつくる「毛母細胞」には鉄分が不可欠です。鉄分が不足すると毛母細胞への酸素供給が減少し、その結果、髪のパサつきやツヤの喪失、抜け毛や切れ毛が増える原因となります。
また、強くしなやかな爪を作るためにも鉄分が不可欠です。
鉄分が不足すると、爪が薄くなって割れやすくなったり、表面にデコボコとした縦筋があらわれたりします。
まとめ
日々の生活で鉄分不足を防ぐため、以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 「ヘム鉄」と「非ヘム鉄」をバランスよく摂る
- ライフステージに合わせた推奨摂取量を知る
- 貧血以外の不調にも目を向ける
鉄分には体内への吸収率が高い肉や魚などの「ヘム鉄」と、吸収率が低い野菜や大豆などの「非ヘム鉄」があります。
食べ合わせを検討するなどして、体内での吸収率をあげましょう。
特に月経のある女性や成長期の子どもは鉄分が不足しやすいため、意識的な摂取が重要です。
肌の不調、髪のパサつき、慢性的なだるさを感じたら、体内の鉄分不足のサインかもしれません。
鉄分は毎日少しずつ失われていきます。まずは日々の食事を見直して、内側から輝く健康な体づくりを目指しましょう。
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