グリホサートの性質と検査手法について|残留残留農薬成分と検査法について
最近散布問題や毒性に関して話題となっているグリホサートについて成分の特徴と検査手法についてご紹介します。
グリホサートとは?
グリホサートは世界で最も広く使用されている農薬成分の1つと言われており、除草剤に分類されます。
農作物栽培農耕地・非農耕地どちらでも使用され、農作物栽培における不要な植物の生長を防いだり、植物や植物の一部を除去したりするために、世界中で最も広く使用されています。
除草効果
グリホサートは葉から吸収され、根からの吸収はごくわずかで成長点に移行し、植物酵素である5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸(EPSP)合成酵素を阻害する事で作用します。この酵素は植物ではアミノ酸のフェニルアラニン、チロシン、トリプトファンの生合成に必須となりこれが阻害される事により生育を遅らせたり、除草効果を得ます。
グリホサートの発がん性
国際がん研究機関(IARC)の評価ではグリホサートは対しておそらく発がん性があるという(グループ2A)と分類しています。
この理由として、2001年以降に米国、カナダ、スウェーデンで発表された、主に農業での暴露に関する研究と、グリホサートが実験動物においてもがんを引き起こす結果を挙げています。
グリホサートの暴露
国際がん研究機関(IARC)の評価ではグリホサートは林業、都市、家庭での用途にも使用されてており、散布中の空気中、水中、家庭内で検出されていると発表しています。
また、主に散布区域周辺での居住、家庭での使用、食事によって暴露されるが、観察されたレベルは一般的に低いとしています。
グリホサート検査法について
グリホサートは非常に水に溶けやすい性質があり、両性のイオン性を持つ事が知られています。
その性質から現行で通知されている一斉試験法で対応が難しい成分です。
厚生労働省では、食品に残留する農薬等の試験法の中でグリホサート試験法を定めております。この分析方法は蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC-FL)を用いた分析となっております。
この残留試験法の概要としてはクロロホルムで脱脂しながら水で抽出し、強酸性陽イオン交換で精製し誘導体化処理を行い蛍光検出器で検出させる方法になります。
最近ではLCMSMSを用いて誘導体化を行わずに直接分析する方法も多く採用されており、弊社でもLCMSMSを使用した分析法を採用しています。
ただし、LCMSMSでは感度が低い、つまりは測定出来る濃度の濃さが高くなる傾向があり、LCMSMSの中でも感度が良い機種が測定には必要となります。
弊社では作物から土壌まで幅広く検査を行っておりますので是非ご検討下さい。
リンク
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出展・参考文献
Frequently asked questions on the assessment of the health risk of glyphosate:BfR
IARC Monographs Volume 112: evaluation of five organophosphate insecticides and herbicides:IARC
食品に残留する農薬等の試験法:厚生労働省