食中毒|セレウス菌の予防と特徴とは?

セレウス菌とは?

セレウス菌(Bacillus cereus)は土の中や水の中など自然界に広く存在する通性嫌気性菌(酸素のない状態でも存在できる菌)で、食中毒の原因となる菌の一種です。通常の加熱調理に耐える熱に強い芽胞を形成する菌のため、チャーハンや焼きそばなど、熱を加えた食品でも食中毒を起こすケースが多いです。飲食店をはじめとする調理施設で多く発生している傾向もあるため、飲食に関わるお仕事をされている方は特に注意が必要な食中毒菌といえます。
 

セレウス菌の食中毒症状の特徴

セレウス菌による食中毒の症状は「嘔吐型」と「下痢型」です。日本では「嘔吐型」が多く発生する傾向があり、先述したようにチャーハンや焼きそば等が代表的です。セレウス菌が食品中で産生した嘔吐を引き起こす毒素(セレウリド)によって引き起こります。セレウス菌は90℃で60分加熱しても耐える芽胞(熱に強い殻のようなもの)を形成し生き残ります。産生された毒素も熱に強く、通常の加熱調理では失活しません。過去5年間の原因食材としては、チャーハンやピラフ等の米飯系、焼きそばやパスタなどの麺類系が多く見られます。米や小麦等の穀類は土壌に接する機会が多いので、セレウス菌に汚染されている可能性が高い食材です。セレウス菌は熱に強い芽胞を形成し、加熱調理をしても芽胞が生き残り、放冷中などに発芽し増殖してしまうため、調理済み食品を長時間常温で保管するのを避ける等の対策が重要です。一度に大量調理して保管する食品には特に注意しましょう。
 

セレウス菌の予防方法

セレウス菌は自然界に広く分布しているため、食材への汚染を防ぐことは困難であります。また、芽胞は通常の加熱で死滅させることができないので、加熱調理後は菌を増殖させないように食品を取扱う必要があります。以下の2つのポイントが重要です。
1.必要最少量の調理を行い、速やかに提供・喫食する
加熱調理後に常温放置することでセレウス菌の増殖につながります。調理後常温放置せず、速やかに提供・喫食しましょう。
2.保管する場合は、8℃以下または55℃以上を保つ
セレウス菌は28℃~35℃の温度帯で増殖しやすい菌です。調理後に保管してから提供・喫食しなければならない場合は8℃以下で冷蔵保管、もしくは55℃以上で保管しましょう。また、冷蔵保存の際は小分けにして保管することで冷却速度を速めることができます。
 
 

検査についてはこちらから▽

>>セレウス菌の検査はこちら
>>その他の菌検査はこちら
>>食環境衛生研究所ホームページはこちら
 

参照

>>厚労省「細菌による食中毒:セレウス菌」はこちら
>>厚労省登録機関・登録衛生研究所 町田衛生研究所「セレウス菌食中毒の症状や特徴、予防方法について」はこちら

youtube