凝集反応の原理と方法

凝集反応とは

凝集とは・・・抗原と抗体が連続して結合し、塊となること。
抗体にある2つの可変部が、それぞれ異なったエピトープと結合し、その抗原に存在する別のエピトープと抗体が結合する。
 

 

凝集を利用した試験

動物衛生ラボラトリー事業部では、上記の凝集を利用して血清中の抗体測定を行っております。
以下にいろいろな凝集試験と概要を記載します。(〇〇は病名、アルファベットは試験名の略号です)
 

①凝集反応(〇〇-AG)

階段希釈した血清に既知の濃度の抗原液を入れ、反応させることにより、凝集反応がおこります。
凝集が認められる血清の最大希釈倍数を抗体価とします。
 

②生菌凝集反応(〇〇-WP)

階段希釈した血清に抗原液として生きた菌液を入れ、一晩培養します。
血清中に抗体がない場合は、菌が生育し、ウェルの底に沈下します。
抗体がある場合は、抗体と菌体が凝集反応を起こすので、凝集塊が見られます。
凝集が認められる血清の最大希釈倍数を抗体価とします。
 

③受身(間接)凝集反応(〇〇-Latex)

抗原を結合させたラテックス粒子を抗体と反応させることにより、凝集を確認します。
階段希釈した血清を反応させることにより、その血清の最大希釈倍数を抗体価とすることができます。
 

④赤血球凝集抑制反応(〇〇-HI)

抗原に赤血球と結合する能力(赤血球凝集能)がある病原体が検査可能です。
階段希釈した血清と抗原液を混合し、感作させます。この時点で、血清中に抗体がある場合は抗原抗体反応が起こります。
その後、血球液を入れ、血球の沈下が認められる最大希釈倍数を抗体価とします。
※抗体がない場合、抗原と血球が凝集を起こすため、凝集塊が見られます。
抗体がある場合、抗原と抗体が反応するため、血球は凝集せずに沈下します。
 

⑤急速血清凝集反応(〇〇-RSA)

血清と抗原液を、混ざらないようにガラス板に添加します。
ガラス板を回し、血清と抗原液を混合します。
凝集の有無と、凝集が起こるまでの時間により、抗体の測定を行います。
 

⑥寒天ゲル沈降反応(〇〇-AGP)

寒天ゲルに小さな穴を等間隔に空け、中央の穴に抗原、周囲の穴に血清を入れます。
数日間静置し、抗原液と血清の間に白い線(沈降線)の有無により、抗体の有無を調べます。
 

⑦顕微鏡下凝集試験(〇〇-MAT)

階段希釈した血清に抗原液(生きた菌)を入れ、数時間感作させます。
感作後の液をスライドガラスに移し、暗視野顕微鏡にて凝集の有無を直接観察します。
凝集が50%以上認められる時点での血清の希釈倍数を抗体価とします。
 
 

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