日本と諸外国の食品表示|コーデックス規格から見る栄養成分分析項目の違い

コーデックス規格(Codex)とは

コーデックス委員会において策定された国際食品規格のことで、以下の規格を制定しています。
●Standards(規格)
・個別食品規格(生鮮果実・野菜、加工果実・野菜等)
・MRL(Maximum Residue Levels)(農薬や動物薬の最大残留基準)
・General Standards(添加物などの一般規格)
・Methods of analysis and sampling(分析・サンプリング法)
●Code of Practice(食品衛生などの実施規範)
●Guideline(表示などのガイドライン)
 

コーデックス委員会とは

国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)によって1963年に設立された国際的な政府間機関です。機関の目的としては、消費者の健康保護(=食品安全)、公正な食品貿易の確保(=品質、表示)としています。
 

コーデックス規格の特徴

規格の特徴として大きく2つあります。
1つ目は、農畜産物の生産段階から私たちの食卓に並ぶまで、全ての段階で守られるべき安全に関する基準です。コーデックス委員会は、消費者の健康を保護することを目的に、世界で流通する食品の安全を確保するための基準を作ります。例えば、食品に香りや色をつけるための物質(食品添加物)を使うときの基準、農薬や自然に存在する有害な物質(ヒ素・カドミウムなどの汚染物質)が食事により体内に入っても害を及ぼさないと考えられる基準、食中毒を防止するために必要な食品中における微生物基準、食品を製造する際に遵守すべき衛生規範などがこれに該当します。
2つ目は、食品の品質に関する規格です。この品質規格は、公正な貿易を促進するために必要と考えられています。例えば、ある特定の食品に含まれるべき成分とその量などです。また、製造方法、その内容を表示に関する指針、検査方法、これらの食品貿易に必要な輸出証明の方法・手続きなども策定されています。
 

日本と諸外国における食品表示の比較

食品表示に必要な項目には、名称や原材料、栄養成分等数多くあります。
いくつか抜粋して日本と海外の食品表示の比較を以下にまとめてみました。
 

項目日本コーデックスEUアメリカ
食品の名称その内容を表す一般的な名称を表示その内容を表す一般的な名称を表示(個別の規定がある場合は、当該規定に基づき表示)EU又は加盟国で規定されている名称を表示。規定がない場合、一般的な名称等を表示連邦法等で規定されている名称を表示。規定がない場合、一般的な名称等を表示
原材料一覧添加物と明確に区分して重量順に表示※個別的義務表示において、重量順表示の特例を設けている品目もある。※水は商習慣上も他法令においても、省略(添加物を含めた)原材料を重量順に全て表示(添加物を含めた)原材料を重量順に全て表示(一部の食品では、特定の成分を参照しない場合は省略可。)(添加物を含めた)原材料を重量順に全て表示
添加物原則、物質名で表示具体名又は国際番号(INS番号等)表示名称及びE番号(E+INS番号。EU で認可された食品添加物を示すコードナンバー)で表示一般名で表示
原産国輸入品については、原産国を表示表示しないことで消費者が原産国を誤認する恐れがある場合は表示表示しないことで消費者が原産国を誤認する恐れがある場合は表示輸入品については、原産国を表示、豚肉、野菜等特定の食品は表示義務※関税法として規定されており、食品以外にも適用される。
栄養成分の量・熱量熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(「食塩相当量」で表示)の5項目を表示(合理的な推定により得られた値の表示が可能)熱量、たんぱく質、脂質、糖質(炭水化物から食物繊維を除いたもの)、ナトリウム、飽和脂肪酸、総糖類の量の7項目を表示熱量、脂質、飽和脂肪酸、炭水化物、糖類、たんぱく質、食塩を表示熱量、脂質、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、コレステロール、ナトリウム、炭水化物、食物繊維、糖類、添加糖類、たんぱく質、ビタミンD、カルシウム、鉄、カリウムを表示

 
表示項目には他にも、「内容量等」「保存方法」「消費・賞味期限」「アレルゲン」「食品関連事業者の氏名又は住所」「製造所又は加工所の所在地」「栄養強調表示」「包装全面栄養表示(FOPNL)」「原材料の量的表示」「加工食品の原料原産地」「遺伝子組換え」「ロット識別」があります(消費者庁調べ)。国によっては任意の項目もありますので、これら全てを表示しなくても良いですが、一つ一つ細かくルールが決められており、輸入・輸出の際は食品表示も厳しく監査されます。食品に表示する際はご注意ください。
 
食環研ではEU、アメリカの他、シンガポール、カナダ、台湾向けの海外輸出向け栄養成分表示セットを提供しています。
>>栄養成分表示(海外輸出向け)ページはこちら
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>>食環研HPはこちら
 

参考

>>農林水産省 日本語版コーデックス規格
>>厚生労働省 コーデックス規格の特徴
>>消費者庁 諸外国との表示制度の比較
 
 
 

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