残留抗生物質簡易検査法で食の安全を守る

我々の食卓に欠かせない、肉や魚や卵。これら畜水産動物の疾病予防及び治療を目的に数多くの抗生物質が使用され、畜水産物の生産性向上に大きく寄与しています。しかしながら一方では、抗生物質の畜水産物中への残留が食品衛生上強く懸念されていることも事実です。また、薬剤耐性菌出現への影響も大きな問題となっており、これら抗生物質の適切な使用が求められています。そこで今回は、畜水産動物の残留抗生物質の分析方法についてご紹介したいと思います。残留抗生物質を分析する方法には、大きく分けて微生物学的試験法と理化学的試験法があります。
 

①微生物学的試験法

抗生物質が有する微生物の増殖を抑制する作用(抗菌作用)を指標とした分析法で、形成された阻止円の大きさを測定することにより試料中の抗生物質の有無を判定することができます。現在、日常検査には平成6年に厚生省から示された「畜水産食品中の残留抗生物質簡易検査法(改訂)」及び「畜水産食品中の残留抗生物質の分別推定法(改訂)」が公定法として用いられています。
 

②理化学的試験法

畜産物中にはタンパク質・脂質・炭水化物など多くの食品成分が含まれており、分析対象である抗生物質はごく微量であることがほとんどです。そこで、分析対象である抗生物質を選択的かつ高感度に検出する方法として、HPLCやLC-MS/MSを用いた理化学的試験方法があります。
 
微生物学的試験法のうち、弊社で検査可能である「畜水産食品中の残留抗生物質簡易検査法(改訂)」について簡単にご紹介します。この簡易検査法は、検体に含まれる抗生物質をクエン酸・アセトン緩衝液で抽出し、その抽出液を含ませたペーパーディスクを3種類の試験菌を含む培地にのせ、30℃で18時間培養後に得られた阻止円の大きさにより抗生物質残留の有無を判定する方法です。
 

使用菌株

Bacillus subtilis ATCC 6633
Micrococcus luteus ATCC 9341
Bacillus mycoides ATCC 11778
 
 
これらの検査によって、ペニシリン系、マクロライド系、アミノグリコシド系、サルファ剤、クロラムフェニコール系、テトラサイクリン系の抗生物質について、検出の有無をご報告することができます。
 
弊社では、残留抗生物質簡易検査法が可能です。
>>残留抗生物質簡易検査法はこちら
 
参考
「食品衛生検査指針 動物用医薬品・飼料添加物編 2003」
「畜水産食品中の残留抗生物質簡易検査法(改定)」
厚生省通知 平成6年7月1日付け衛乳第107号

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