DNAシーケンス解析②:DNAシーケンサーの原理

前回DNAシーケンス(サンガーシーケンス)の原理についてお話しました。
今回はこれを自動で行うDNAシーケンサーのしくみについて説明します。
 

DNAシーケンサーの仕組み

DNAシークエンサーの仕組み
 
DNAシーケンサーでは手動の方法とは異なり、4種類の特殊なヌクレオチドを同時に加えます。
このヌクレオチドは、それぞれが異なる蛍光色素で標識されており、1つのチューブの中で様々な長さのDNA断片を同時に作成できます。
 
そうして作成したDNA断片たちをDNAシーケンサーにセットすることで、電気泳動と蛍光色素の検出を自動で行います。
 
電気泳動と蛍光色素の検出
 
DNAシーケンサーの中にはキャピラリーという細い管があり、この中で電気泳動をかけることによって、蛍光色素で標識されたDAN断片がサイズごとに順番に通過してゆきます。
これを順番ごとにレーザーで読み取ることによって、どこにどの蛍光色素が多かったか、波形データとして出力してくれます。
あとはこの波形データの信頼性と強度を解析してあげることで、調べたい塩基配列がわかるという仕組みです。
 
以上がDNAシーケンサーの仕組みです。
 

おまけ

DNAシーケンスの蛍光標識と検出方法は大きく分けて以下の2種類があります。
 

ダイプライマー法(dye-primer)

プライマーを直接蛍光標識し検出する方法。
ヌクレオチドではなくプライマーを光らせる方法のため、事前にプライマーの標識とターミネーターの種類を対応させておくことが必要です。常に4種類の標識したプライマーを用意しておき、反応も4回行う必要があります。
十数塩基あるプライマーが光るためシグナルは強く、読める配列が長めなのが特徴です。
 

ダイターミネーター法(dye-terminator)

種類のターミネーターを蛍光標識し検出する方法。
それぞれ異なる蛍光色素で標識するため、一回反応させるだけで泳動、検出が可能。最近のDNAシーケンサーで使われている検出方法がコレ。
1塩基のターミネーターがそれぞれ発色するため、シグナルがばらばらになりやすく、読める塩基が短めでした。現在は蛍光色素やDNAポリメラーゼが改良されて、ダイプライマー法とそん色ないレベルでの検出が可能です。
 
DNAシーケンスの原理についてはこちら▼
>>DNAシーケンス解析①:サンガーシーケンスの原理
波形の読み方についてはこちら▼
>>DNAシーケンス解析③:シーケンス波形の見方
 
 

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