DNAシーケンス解析③:シーケンス波形の見方

今回はDNAシーケンサーから出力された波形データの見方について説明します。
シーケンサーが読み取った蛍光色素は、解析用ソフトウェアによって以下のような波形データとして出力されます。
 
DNAシークエンサーの仕組み
 
波形データの縦軸は蛍光色素のシグナル強度を、横軸は時間(塩基の位置)を表しています。シグナル強度は読み取った蛍光色素量が多いほど強くなる傾向があります。
波形の色は各塩基、A、T、C、Gに対応する色で出力され、上図の場合、波形の下部のアルファベットは解析ソフトウェアによって決定された塩基が表示されています。
 
波形データの最初の数塩基~数十塩基はほとんどの場合読むことができません。ここはプライマー直後の配列なのですが、DNA断片のサイズが小さいため他のプライマーや不純物によりノイズの影響を受けやすいため読みとれないことがあります。
この領域の塩基配列が知りたい場合は、プライマーの設計位置等を再検討する必要があります。
 
最後に、信頼性の高い波形の条件としては、シグナルの強度が十分に高く、一つ一つの波形がシャープであり重なり(ノイズ)がないもしくは少ないものがあげられます。
また、PCR産物の場合600~650bpくらいまでシグナル強度と波形の形が安定していれば塩基配列の信頼性は高いと思われます。
 
DNAシーケンスの原理についてはこちら▼
>>DNAシーケンス解析①:サンガーシーケンスの原理
DNAシーケンサーの原理についてはこちら▼
>>DNAシーケンス解析②:DNAシーケンサーの原理
 

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