≪異臭検査≫なぜ食品から糞便臭がするのか?原因とは?

はじめに

異臭検査では糞便臭がする、といったお申し出を承る場合があります。実際にガスクロマトグラフィーで分析すると、原因物質として「クレゾール」、「インドール」、「スカトール」が検出されることがあります。これらの物質はどのような特徴を持っているのでしょうか。
 

各成分の特徴とにおいの原因

「クレゾール」にはo-、m-、p-の異性体があり、それぞれ臭気の閾値が異なります。臭いの特徴としては、低濃度では消毒臭や薬品臭のような刺激臭、高濃度になると獣臭・燻製・スモーク臭を有します。一方、「インドール」及び「スカトール」は防虫剤・ナフタレン・口臭のような臭いを有します。これらの臭いは一見すると食品と関係がなさそうに見えますが、どのようなメカニズムで食品から発生するのでしょうか。
肉、魚などの畜水産物はタンパク質やアミノ酸を多く含んでいます。これらは屠殺直後から徐々に酸化、腐敗及び分解などの劣化が始まり、なかでも細菌による分解から上記3物質が生成することが知られています。
アミノ酸であるチロシンは細菌により脱アミノ、転移アミノ、脱炭酸および脱水酸基反応を受け分解され、その結果、「クレゾール」が産生されます。アミノ酸のトリプトファンでも同様の分解が起こり、「インドール」や「スカトール」が産生されます。
畜水産物のほかアミノ酸を多く含む野菜や加工品においても上記と同様に細菌による分解が起き、糞便臭が発生する実例があります。
 

おわりに

食品の糞便臭問題は、前述のように細菌による分解が最も影響を受けることから、微生物制御が重要なファクターとなります。一般的に微生物や細菌は適度な水分と酸素がある室温の環境で増殖します。増殖させない環境作りとして凍結、脱酸素、窒素ガス充填、真空包装、酸化防止剤添加など様々な加工技術で食品の衛生管理をしていますが、それでも異臭が発生してしまうケースもあります。
弊社の異臭検査では食品(商品)から異臭成分を減らす効果を評価することが可能です。例えば、ハムやソーセージのパック中の臭いが気になるような商品でしたら、脱酸素剤や窒素ガス充填の効果を数値として測定することができます。
 

参考文献

1) 樋口、太重 2016 有機物の分解と微生物 農業および園芸 91(3) :340-344
2) 吉田秋比古 1986 食品の劣化原因とその防止法 生活衛生30-3 食品の加工と貯蔵(2):42-45
 

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