水質汚濁に係る環境基準の重要性を考える
環境基準とは
「環境基本法 第三節 環境基準」
第十六条 政府は、大気の汚染、水質の汚濁、土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について、それぞれ、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準を定めるものとする。
環境基本法に基づく水質汚濁に係る環境基準は、水質の保全を目標として公共用水域の水質等について、「達成、維持」することが望ましい基準を定めたもので、人の健康の保護に関する環境基準(以下「環境項目」)と生活環境の保全に関する環境基準(以下「生活環境項目」)の二つがあります。
現在、環境項目については、カドミウム、全シアン、鉛等26項目について環境基準が定められており、地下水についても平成9年に環境基準が設定されました。また、現状で直ちに環境基準とはせずに、引き続き知見の集積に努めるべきものとして要監視項目27項目(クロロホルム、トランス-1,2-ジクロロエチレン、1,2-ジクロロプロパン等)が設定されました。
◆人の健康の保護に関する環境基準
環境基準及び基準値
項目 | 基準値 |
カドミウム | 0.01 mg/L 以下 |
全シアン | 検出されないこと。 |
鉛 | 0.01 mg/L 以下 |
六価クロム | 0.015mg/L 以下 |
砒素 | 0.01 mg/L 以下 |
総水銀 | 0.0005 mg/L 以下 |
︙ | ︙ |
要監視項目及び指針値
項目 | 基準値 |
クロロホルム | 0.06 mg/L 以下 |
トランス-1,2-ジクロロエチレン | 0.04 mg/L 以下 |
1,2-ジクロロプロパン | 0.06 mg/L 以下 |
p-ジクロロベンゼン | 0.2 mg/L 以下 |
イソキサンチン | 0.008 mg/L 以下 |
ダイアジノン | 0.005 mg/L 以下 |
︙ | ︙ |
生活環境項目については、BOD、COD、DO等の環境基準が定められています。また、富栄養化を防止するため、湖沼及び海域について全窒素及び全燐に係る環境基準が定められています。さらに、平成15年に水生生物の保全の観点から、全亜鉛に係る環境基準が設定されました。また、現状で直ちに環境基準とはせずに、引き続き知見の集積に努めるべきものとして要監視項目3項目(クロロホルム、フェノール、ホルムアルデヒド)が設定されています。
◆生活環境の保全に関する環境基準
・河川(湖沼を除く。)
項目 類型 | 利用目的の適応性 | 基準値 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
水素イオン濃度(pH) | 生物学的酸素要求量(BOD) mg /L | 浮遊物質量 (SS) mg /L | 溶存酸素量(DO) mg /L | 大腸菌群数MPN / 100mL | ||
AA | 水道1級 | 6.5~8.5 | 1 以下 | 25 以下 | 1 以下 | 50 以下 |
A | 水道2級 | 6.5~8.5 | 2 以下 | 25 以下 | 1 以下 | 50 以下 |
B | 水道3級 | 6.5~8.5 | 3 以下 | 25 以下 | 1 以下 | 50 以下 |
C | 水産3級 | 6.5~8.5 | 5 以下 | 50 以下 | 1 以下 | ― |
D | 工業用水2級 | 6.0~8.5 | 8 以下 | 100 以下 | 1 以下 | ― |
E | 工業用水3級 | 6.0~8.5 | 10 以下 | ごみ等の浮遊が認められないこと | 1 以下 | ― |
項目 類型 | 水生生物の生息状況の適応性 | 基準値 |
---|---|---|
全亜鉛 | ||
生物A | イワナ、サケマス等比較的低温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域 | 0.03 mg /L以下 |
生物特A | 生物Aの水域のうち、生物Aの欄に揚げる水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域 | 0.03 mg /L以下 |
生物B | コイ、フナ等比較的高温域を好む水生生物及びこれらの餌生物が生息する水域 | 0.03 mg /L以下 |
生物特B | 生物Bの水域のうち、生物Bの欄に揚げる水生生物の産卵場(繁殖場)又は幼稚仔の生育場として特に保全が必要な水域 | 0.03 mg /L以下 |
・海域
項目 類型 | 利用目的の適応性 | 基準値 | |
---|---|---|---|
全窒素 | 全燐 | ||
Ⅰ | 自然環境保全及びⅡ以下の欄に揚げるもの(水産2種及び水産3種を除く) | 0.2 mg /L 以下 | 0.02 mg /L 以下 |
Ⅱ | 水産1種・水浴及びⅢ以下の欄に揚げるもの(水産2種及び水産3種を除く) | 0.3 mg /L 以下 | 0.03 mg /L 以下 |
Ⅲ | 水産2種及びⅣの欄に揚げるもの(水産3種を除く) | 0.6 mg /L 以下 | 0.05 mg /L 以下 |
Ⅳ | 水産3種・工業用水・生物生息環境保全 | 1 mg /L 以下 | 0.09 mg /L 以下 |
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参考資料
>>環境省「水質汚濁に係る環境基準」
>>環境省「環境基準一覧」
>>国土交通省「水質環境基準について」