アスベストの試料採取量について解説します!
建材中の石綿分析を行っていると、試料量はこれで足りるのかといったご相談を頂くことがあります。
また、実際に送られてくる試料量がごく少量のこともあります。
私たちも現場で試料を採取することがあるため、現場の状況や建材の種類によって十分に採取できないことも経験があるのですが、十分な試料量がないと正しい分析を行うことが難しくなります。
弊社はJIS A 1481-1に準拠した定性分析を行っており、この方法は建材の層別に分析ができるメリットがあります。
しかし、ごく少量であったり粉末状態であったりすると石綿が含まれていた場合にどの層に含有していたのか判断することができません。
また、石綿以外の成分を取り除き石綿を検出しやすくするための灰化や酸処理、浮遊沈降といった試料調整をおこなうためにも十分な試料量があることが望まれます。
ここでは建築物石綿含有建材調査者テキストに記載されている試料採取における試料量と留意事項について建材別に一部ご紹介いたします。
吹付け材
吹付け材は材料組成が不均一であったり、施行年によって石綿含有のものと無石綿が混在している時期があったり、複数の施工業者が作業を行い異なる吹付け材を使用していることがあったりするため、ムラのある建材であり、採取には注意が必要です。
平屋建てで床面積が3000m2未満の場合、3か所以上、1か所当たり10cm3
平屋建てで床面積が3000m2以上の場合、600m2ごとに、3か所以上、1か所当たり10cm3
施行等の記録により吹付け業者が明確な場合は、業者ごとに3か所以上、1か所当たり10cm3
耐火被覆材
施行範囲から奇数階および偶数階からそれぞれ1フロアを選定し、3か所以上、1か所当たり10cm3(耐火被覆材と耐火被覆材の境界の耐火塗材が使用されている可能性あり⇒境界を中心に採取)
断熱材
保温材
3か所以上、1か所当たり10cm3(下地まで貫通)
成形版
3か所から1か所当たり100cm2(表面を化粧したものがあるため表面のみの採取はしない)
仕上塗材
3か所以上から10cm3
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参考文献
建築物石綿含有建材調査者講習テキスト 建設業労働災害防止協会