LCMSMSを用いた食品中の麦角アルカロイド一斉分析検査をはじめました

麦角アルカロイドとは?
《はじめに》
小麦・ライ麦などに寄生する麦角菌(Claviceps purpureaなど)により産生されるカビ毒である。カビ毒は、カビが産生する代謝産物で、ヒトや動物の臓器、組織に障害を与え食中毒等を引き起こしたり、強い発ガン性を示すものがあり、現在、300種類以上のカビ毒が知られているが、麦角アルカロイドとは、その中の1種類となります。
麦角菌は、その胞子が飛散し、麦類の穂に付着することで感染する。感染した穂では、麦角菌が増殖し、やがて黒紫色の角の形になり、ここに麦角アルカロイドが蓄積されます。
カビ毒全体の特徴として、通常の調理や加工の温度(100℃から210℃)や時間(60分以内)では、完全に分解することはできないことがわかっています。油で炒めてもカビ毒はほとんど減ることはありません。(農林水産省調べ)
麦角アルカロイドによる汚染は、主にイネ科の植物で発生するが、特にライ麦に多いことが知られています。アルカロイド類の総称をバッカクアルカロイドまたはエルゴットアルカロイドといい、ヒトや動物に対して毒性のある麦角アルカロイドは12成分あります。
(表1)

表1.麦角アルカロイドの成分名

番号 麦角アルカロイドの成分名
1 エルゴシン
2 エルゴシニン
3 エルゴコルニン
4 エルゴコルニニン
5 エルゴタミン
6 エルゴタミニン
7 エルゴクリスチン
8 エルゴクリスチニン
9 エルゴメトリン
10 エルゴメトリニン
11 エルゴクリプチン
12 エルゴクリプチニン

《ヒトに対する影響》
ヒトでは、麦角菌に汚染されたイネ科穀類を摂食することで麦角中毒を引き起こすことが知られており、血管収縮による血流減少、発熱、悪寒、壊疽、神経性痙攣発作などを引き起こすことが報告されています。

《麦角アルカロイドを巡る国内外の規制状況》
フランス食品衛生安全庁(AFSSA)は、食品としては、規制値は軟質小麦及び硬質小麦共に麦角0.5g/kg(0.05%)である。粉末でない穀物を含む飼料としては、欧州規則2002/32及び2001年1月12日付フランス国内法で麦角1g/kg(0.1%)に制限しています。
豪州でソルガムとその加工品からなる飼料中の麦角含有率を0.3%とした。授乳期の雌豚に麦角含有量0.02%を超えるライ麦を給餌しないよう勧告しています。
カナダでは飼料用穀物についてネット重量に対する麦角重量をパーセンテージで0.04%以上及び0.1%以下としている。肥育用豚には0.1%を超える麦角含有量の飼料は使用しないよう勧告しています。
国内では、農産物規格規程において、麦類の麦角粒(麦角菌に汚染された黒変した穀粒)の混入率の上限は0.0 %と規定しており、麦角アルカロイド類の基準値は設定されていません。しかし、農林水産省は、食品中の有害化学物質が健康に悪影響を及ぼす可能性がどの程度あるか(リスク)を事前に把握し、その問題の発生を未然に防ぐ「リスク管理」を行っており、そのリストの中に麦角アルカロイドが選定されています。そして、平成30年度から、麦類(小麦、大麦、ライ麦)の麦角アルカロイドの全国的な含有実態を把握することを目的として、農林水産省がリスク管理を進める有害化学物質の一つとして調査を行なっています。
更に、麦角アルカロイドによる汚染防止対策として、これまでは、汚染された穀粒を目視で除去する方法で行っていましたが、近年、化学分析によって濃度を管理する方法への移行が国際的に検討されています。

弊社では麦角アルカロイド一斉分析検査をはじめました。更に、精度管理等行いながらより正確に検査を行っております。

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