脂質・脂肪酸の適切な摂取量は?~脂質・飽和脂肪酸編~

まえがき

脂質は重要なエネルギー供給源であり、細胞膜や生理活性物質の構成成分の一つです。脂肪酸は脂質の一部を構成しており、構造の違いにより、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。脂肪酸の中には体内で合成することが出来ず、食事から摂取する必要があるものがあり、これらを必須脂肪酸と呼びます。本コラムでは脂質及び飽和脂肪酸の摂取量に関してご紹介いたします。

<参考コラム>
脂肪酸についてはこちら →『脂肪酸とは? (良い脂質、悪い脂質について)
脂質と脂肪酸の違いについてはこちら →『脂質と脂肪酸について

日本人の食事摂取基準

 厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準 (2020年版)」では、脂質や飽和脂肪酸の摂取目標量が設定されています。日本人の各性別・年齢における脂質の摂取量及び摂取目標量を表1に、飽和脂肪酸の摂取量及び摂取目標量を表2に示します。

<脂質について>
飽和脂肪酸の目標量の上限を超えないかつ必須脂肪酸の目安量を下回らないよう、20%以上30%未満と設定されています。表1の18-29歳の女性において、脂質の摂取量が目標量をわずかに上回っていることがわかります。

<飽和脂肪酸について>
飽和脂肪酸は重要なエネルギー源ですが、取りすぎると血中総コレステロールが増加し、心筋梗塞をはじめとする循環器疾患のリスク増加が予想されているため、日本人の摂取量の中央値をもとに7%以下の目標量が設定されています。表2の18-49歳の男性及び18-64歳の女性において、飽和脂肪酸の摂取量が目標量を上回っていることがわかります。

以上の結果から、近年の日本人は、脂質の摂取量はほぼ目標量を満たしていますが、飽和脂肪酸の摂取量が過剰になっているという傾向が認められます。

飽和脂肪酸の含有量

 飽和脂肪酸は、炭素に二重結合を持たない脂肪酸で、乳製品、肉などの動物性脂肪や、近年、日本でも使用量が増えているパーム油などの植物油脂に多く含まれています。表3に飽和脂肪酸の含有量の例を示します。前述の通り、乳製品のクリームや動物性脂肪を有する牛肉・豚肉等は含有量が多く、甲殻類 (かに) や野菜 (ブロッコリー) は含有量が少ないことがわかります。
 含有量の多い豚バラ肉 (脂身付き) を例に、1日の摂取目標量の7%を超えない量とはどのくらいかを算出します。まず、表2より30代男性では1日の摂取目標量の7%に値する量が15.5 g、30代女性では12.8 gと算出できます。一方で、表3より豚バラ肉 (脂身付き) は100 g食べることで約18 gの飽和脂肪酸を摂取することになり、摂取目標量を超えてしまうことがわかります。摂取目標量を超えないようにするには、30代男性で86 g、30代女性で71 gに抑える必要があるようです。

あとがき

飽和脂肪酸の含有量が少ない食品だけを摂取すれば健康になれる!というわけでもなく、何事もバランスが大事です。本コラムで紹介した摂取目標量を参考にしつつ、日々の食生活の見直し・改善等にお役立てください。
弊社では14種類の飽和脂肪酸の検査を行っております (表4)。また、脂質や不飽和脂肪酸、トランス脂肪酸、その他の栄養表示成分検査も行っております。相談等もお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

・脂質、脂肪酸、栄養表示成分検査等はこちら → 『食品表示栄養成分検査
・お問い合わせはこちら →『お問い合わせ

<参考文献>
1.日本人の食事摂取基準 (2020年版):厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
2.脂質による健康影響:農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/trans_fat/t_eikyou/fat_eikyou.html
3.日本食品標準成分表 2020年版 (八訂):文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_01110.html

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