日常に潜む微生物 ~クロノバクターサカザキ編~

現在、欧米で粉ミルクが不足していることはご存じですか?
製造メーカーでのリコールやインフレなどが原因とされていますが、中でも製造工場の閉鎖が大きなダメージとなっています。

その理由としては、工場の安全管理に問題があることが懸念され、サルモネラ属菌、クロノバクター属菌などの検査を行った結果、環境中からクロノバクターサカザキが検出されたことが原因となっています。

あまり聞いたことのない名前かと思いますが、実は粉ミルクから検出されることがある細菌です。厚生労働省から安全な粉ミルクの作成方法についての指針が出ていたり、各粉ミルクの製造メーカーが品質管理を徹底していたり、粉ミルクの安心安全のために各分野が取り組んでいます。

日常的に作成する粉ミルクが、時に敗血症や髄膜炎の原因となってしまうことがあります。
乳幼児における潜伏期間は数日間で2~8週間程度症状が続くとされています。
また、発症に必要な菌数は10~100個と推定されており、少ない菌数でも発症することがあります。(ノロウイルスによる食中毒も10~100個で感染・発症することがあります)
そうした事態を避けるためにも、クロノバクターサカザキについて詳しく書いていきたいと思います。


乾燥に強く、粉ミルクや乾燥野菜などの食品から分離されることがありますが、自然界での生息場所はよくわかっていません。
また、粉ミルク以外からも検出されることがあるにも関わらず、病気の発生に関係していたのは、粉ミルクのみであることが分かっています。恐ろしいですね。

汚染経路は主に3つ。
1 調製粉乳の製造に用いられる未処理の原材料から菌が混入する
2 殺菌後の製品や乾燥原料が菌に汚染される。
3 授乳前の調乳時に菌に汚染される。

私たちが普段気をつけられるのは3の調乳時の汚染です。


主な予防策としては、
1 調乳の際、使用する湯は70℃以上を保つ。(70℃以上の加熱でクロノバクタ―サカザキは死滅するため)
2 調乳後は直ちに冷やす。
3 2時間以内に使用しなかったミルクは廃棄する。
などとなっております。
詳しくは厚生労働省のHPで確認することも可能です。

ガイドラインはこちら
https://www.mhlw.go.jp/・・・070604-1b.pdf

私も最初は、どうして調乳の際は熱々のお湯を使うのか、飲まなかったミルクを廃棄するのはもったいないなぁ・・・などと思っておりましたが、安全のためには必要なことだったのだと改めて学ぶことができました。

クロノバクタ―・サカザキの検査はこちら
→ https://www.shokukanken.com/item/1375

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