土壌への化学物質の残留

私たちの生活の中では様々な化学物質が使用されています。
洗剤、シャンプー、消毒剤、農薬類、コーティング剤、塗料、燃料などなど・・・
屋内で使用されて排水として流れていくもの、土壌中に散布するもの、物質の表面に付着させておくもの、混合させて物質の劣化を防ぐもの等いずれも私たちの生活を豊かに、より過ごし易くするために作られています。
しかし、中には使用後の残存化学物質が環境に悪影響を与えることもあります。悪影響の一つに土壌中の残留があります。
農薬や化学肥料など直接土壌に対して使用されるもの、別の用途で使用されているものが雨水などで地面に流れ込むものなどが原因として考えられます。
 
土壌に使用する目的で作られている化学物質に関しては、現在ではその残留性が、土の中や表面で微生物や光、空気などで自然に早期に分解し、また蓄積したものが生物間で濃縮を繰り返さないようなものを採用するようになっています。
元の濃度から自然に半分に減少する期間を半減期といいますが、数ある化学物質の中から、この期間が長すぎないもの、流出した成分が、自然環境中の水生生物等に蓄積されない、影響を与えないものを選別しており、特に食用となるものに直接使用する農薬は半減期が短いものが多いです。
このような基準が生まれる前、昭和初期などはこのような残留性に関する研究もまだ少なく、2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸やDDTなど一時期大量に使用され、環境中にも散布された時代がありました。現在でもその残留物が土壌中に垣間見れるケースもあります。
これに対し、本来の目的以外のところで土壌を汚染する物質も多くあります。
その中に鉛、カドミウム、水銀、ヒ素といった重金属があります。これらは元素ですのでこ
れ以上分解されません。
日本はもともとカドミウムが多い土壌です。このため、日本人の主食である水稲にはカドミウムの含有基準が設定されています。
鉛やヒ素といった物質ももともと土壌には微量に含まれることが多いので全くないわけではありませんが、いくつかの農作物や食材原料にはこれらの含有基準が定められています。
 
水銀に関しては、出来るだけ含まないような物質を使用して工業製品などの製造がな
されるようになってきました。
世の中には化学物質は数万種類あるといわれています。暮らしを豊かにする反面、自然への悪影響を及ぼすものがこれからも出てくるものと思われます。
工夫次第では生活にも環境にも良い影響を与える物質や使い方もあると思います。
私たち一人一人が使用する化学物質をよく理解して使用していけたらと思います。
 

関連リンク

>>環境省 残留性有機汚染物質はこちら
>>ストックホルム条約第 11 回締約国会議(COP11)の結果の概要はこちら
>>SKK 環境分野検査一覧はこちら
 
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