食品の無菌試験法について|容器包装詰加圧加熱殺菌食品
容器包装詰加圧加熱殺菌食品の微生物成分規格についてご存じでしょうか? 厚生労働省が定める成分規格では、『容器包装詰加圧加熱殺菌食品は、当該容器包装詰加圧加熱殺菌食品中で発育し得る微生物が陰性でなければならない』とされています。つまり、全ての微生物がいない無菌状態であることが求められています。本コラムでは、容器包装詰加圧加熱殺菌食品の微生物検査についてご紹介したいと思います。
●容器包装詰加圧加熱殺菌食品の定義
食品(清涼飲料水、食肉製品、鯨肉製品及び魚 肉ねり製品を除く。)を気密性のある容器包装に入れ、密封した後、加圧加熱殺菌したものをいう。
●容器包装詰加圧加熱殺菌食品の微生物検査方法
(1)恒温試験
検体を容器包装のまま35.0℃で14日間保持する。この間において容器包装の膨張の有無又は内容物の漏えいの有無を観察する。この場合容器包装の膨張の有無は約20℃に冷却して観察するものとし、容器包装の膨張又は漏えいを認めたものは、微生物が陽性であるとみなす。
(2)細菌試験
1. 試料の調製
検体開封部の表面をアルコール綿でよくふき、滅菌した器具を用いて開封し、その内容物の全部を無菌的に混合した後、その25gを無菌的に採り、滅菌リン酸緩衝希釈水225mLを加えて細砕する。その1mLを滅菌ピペットで滅菌試験管に採り、滅菌リン酸緩衝希釈水9mLを加えてよく混和し、これを試料とする。
2. 試験法
試料を1mLずつ5本のチオグリコール酸塩培養基に接種し、35.0℃で48時間培養する。この場合、培養基のいずれかに菌の増殖を認めたものは陽性とする。
●容器包装詰加圧加熱殺菌食品の微生物検査判定方法
(1)の恒温試験で陰性であった場合に(2)の無菌試験を行う。
どちらも陰性であった場合に、厚生労働省が定める成分規格に合格となる。
●無菌試験ご依頼時の注意点
「発育し得る微生物」の試験は、(1)恒温試験、(2)細菌試験の順に実施しますが、(1)恒温試験は、上述のように14日間の観察が必要となります。この検査で陰性が確認されたのち(2)の無菌検査を行いますので、ご報告までに20日間程の納期を要します。時間の余裕を持ってご依頼いただけると幸いでございます。
★おまけ★
容器包装詰加圧加熱殺菌食品というと、レトルトパウチ食品を思い浮かべる方も多いと思います。この二つは同意語と思われがちですが、実は少し違います。レトルトパウチ食品は、「レトルトパウチ食品品質表示基準」(平成12年12月19日農林水産省告示第1680号)により、次のように定義されています。
「プラスチックフィルム若しくは金属はく又はこれらを多層に合わせたものを袋状その他の形状に成形した容器(気密性及び遮光性を有するものに限る。)に調製した食品を詰め、熱溶融により密封し、加圧加熱殺菌したものをいう。」
食品衛生法で定める容器包装詰加圧加熱殺菌食品のうち、遮光性を有するものが「レトルトパウチ食品」なのですね。
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