菌種同定に必要なAPI®検査の実践方法について
製品や原料、製造環境等から意図しない微生物が検出され、お困りになった経験がある方も多いと思います。検出された微生物について「どのような微生物なのか」、「どのような性質を持っているのか」、「安全な微生物なのか、有害な微生物なのか」「微生物が検出されないようにするにはどのような対策をとるとよいのか」等が問題となってきます。そこで、微生物の分類学上の名前(学名)を決定し、これらの問題を解決する為の手段となるのが微生物の菌種同定です。
微生物の同定についてはいくつかの方法があります。メジャーなところでは、DNAシーケンサーを用いた塩基配列解析、PCRによる同定、API®検査キット(ビオメリュー)による同定等があげられます。この中で本コラムでは、弊社でも行っております『API®検査キットによる菌種同定』について簡単にご紹介したいと思います。
API®検査キット は、簡便で信頼性の高い結果を提供する微生物同定試験と言われています。シンプルで標準化された操作手順とオンラインの微生物同定データベースから成り立っています。
■検査方法
対象の微生物を培養し、基本情報(グラム染色像、カタラーゼ試験、オキシダーゼ試験、酸素要求性、形態など)をもとに、大まかな分類に適した製品を選択します。菌の種類によって使用する製品が異なります。下記に、代表的な菌種で使用する製品をまとめました。これらの製品それぞれに菌液の接種方法・判定方法が定められています。
腸内細菌科と他のグラム陰性桿菌 ⇒ API® 10 S
リステリア属 ⇒ API® LISTERIA
腸内細菌以外のグラム陰性桿菌 ⇒ API® 20 NE
腸内細菌科、グラム陰性桿菌 ⇒ API® 20 E
一般的な酵母 ⇒ API® 20 C AUX
嫌気性菌 ⇒ API® 20 A
Staphylococcus 属、Micrococcus 属、Kocuria 属 ⇒ API® STAPH
レンサ球菌、腸球菌 ⇒ API® 20 STREP
酵母様真菌 ⇒ ID 32 C
Lactobacillus 属と関連菌種 ⇒ API® 50 CHL
Bacillus 属と関連菌種、腸内細菌科、Vibrionaceae 科 ⇒ API® 50 CHB
■判定方法
各キットの使用説明書の「判定表」およびアピウェブの「色見本」を参照しながら、目視で各項目の色を確認の上、陽性/陰性の判定をします。この目視判定結果について、アピウェブの判定システムを用いて菌名同定を行います。
弊社ではAPI®キットを用いた菌種の同定試験を行っています。どのような微生物なのか知りたい、微生物が検出されたがどうしたらよいかわからない等お困りの際には、お気軽にご相談いただけますと幸いです。