肉の色について|身近な科学
はじめに
私たちの生活に欠かせない「食」。笑顔で「食」を楽しむには安全であり安心できるものであることが必要不可欠です。そこで今回は、ハムやソーセージなどの “ 肉の加工 ” についてお話ししようと思います。
肉製品を製造する際、肉の有する加工特性を利用しています。加工特性には、結着性・保水性・肉色の固定があります。その中で今回は “ 肉色の固定 ” ついてご紹介いたします。
また、肉製品であるハムやソーセージなどは、一般的に肉を原料として、塩漬・充填・燻製・加熱・冷却・包装の工程を経て製造されます。その中でも今回は、肉色の固定に関係する “ 塩漬 ” と “ 加熱 ” についてもご紹介いたします。
肉色の固定
肉製品を製造する際には、亜硝酸塩を添加し、肉色を固定します。肉製品の製造の塩漬工程で添加された亜硝酸塩は、乳酸存在下で亜硝酸へと変化します。この亜硝酸が一酸化窒素へと変化し、ミオグロビンに速やかに結合し、赤色のニトロシルミオグロビンが生成されます。これは、加熱により変性グロビンニトロシルヘモクロムに変化し、加熱肉製品特有の桃赤色として固定されます。
<塩漬>
亜硝酸塩、硝酸塩、ポリリン酸、アスコルビン酸、調味料、香辛料などからなる塩漬剤を原料肉と混ぜ合わせて、一定期間貯蔵する工程のことです。この間に、原料肉における塩漬色の固定反応ならびに塩漬フレーバーの形成反応が進行します。また、亜硝酸塩は、食中毒菌であるボツリヌス菌の肉内での生育を抑制する重要な働きを有しています。
<加熱>
加熱により殺菌処理が行われます。殺菌条件は中心温度63℃で、30分間以上と同等以上の加熱をすること等が食肉製品の規格として求められています。。加熱工程では、肉色の固定と結着・保水性を完了させる目的もあります。
亜硝酸塩の使用量の規定
ボツリヌス菌の抑制や肉製品の発色と様々な働きを有する亜硝酸塩ですが、発がん性物質であるニトロソアミンが生成されるという問題点もあります。
そのため、国内における亜硝酸塩の使用基準は、食肉ハムなどで70 ppm (以下亜硝酸根として)、魚肉ハム・ソーセージで50 ppm 、いくら・すじこで5 ppm と定められています。
おわりに
このコラムを通して、科学が身近な存在になってくだされば幸いです。
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参考文献
1. 畜産学入門(文永堂出版)
2. >>PDF ボツリヌス中毒およびその発生防止法をめぐる最近の問題点