グレーサー病(Hps)とは?|豚の呼吸器病
グレーサー病は、Glaesserella parasuis という細菌が豚に感染して引き起ります。
もともと、Haemophilus parasuis という名前でHpsと略されていますが、2019年に再分類が行われ、上記の名前になりました。本菌は、グラム陰性桿菌で、球菌様から連鎖状、フィラメント状などの多形成を示します。病巣由来株はとくにこの傾向が強いことが知られています。発育にV因子(NAD)を要求し、非溶血性でポルフィリン試験およびカタラーゼ陽性、ウレアーゼとインドールは陰性を示細菌です。輸送、離乳あるいは気温の急激な変化などが誘引となり発症する菌です。主症状は、一般症状の悪化 、 発熱 、 神経症状 、 跛行(関節炎) 、呼吸速迫などが挙げられます。急性症状で骨髄炎を併発した場合は、後躯麻痺、起立不狽笳V泳運動などの神経症状が現れることもあります。
特徴的な解剖所見としては、以下が挙げられます。
① 脳軟膜の混濁肥厚
② 心嚢、胸膜、腹膜における灰黄色の線維素付着
③ 心嚢水、胸水、腹水の増量と線維素片の浮遊
④ 関節滑膜の線維素析出と関節液の増量、混濁
⑤ 甚急性例では病変に乏しいが点状出血が臓器に散見されることがあります。
本病気のポイントとしては、飼養環境の急変、輸送、気候の急変等のストレス感作が発生要因となることが挙げられます。そのため、対策にはストレスや換気、温度管理を行い、発症を抑止することが大事な病気です。また、豚胸膜肺炎(App感染症)やマイコプラズマの感染症でも心嚢、胸膜、腹膜における灰黄色の線維素付着が見られることがあり、類症鑑別が重要な疾病です。
弊社では、抗原検査として各臓器からの菌分離、PCRを実施しています。グレーサー病の典型的な所見があっても、菌が分離されない場合もありますので、グレーサー病疑いの場合は、菌分離にPCRを併せて実施することがおすすめです。
また、補体結合反応(CF)による抗体検査も実施しているため、過去に本菌に暴露された履歴があるかを血液から検査することもできます。
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また、弊社のHPでグレーサー病の現場での対応事例が紹介されています。
>>養豚の友 2023年1月号「白くなるけどグレーサー」
ぜひ、Hps対策にお役立てください。