食品製造用水の重要性と基準について解説
「飲用適の水(食品製造用水)」とは
昭和37年12月、食品や添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)の「ガラスびん(紙栓をつけたものを除く。)または金属製容器包装に収められる清涼飲料水の製造基準」において、次のとおり「飲用適の水」が定義されました。
「炭酸を含有するものにあっては、その原水は、水道法(昭和32年法律第177号)による水道水により供給される水または5分間以上煮沸し、もしくは細菌ろ過した水であって、水道法第4条に規定する水質基準に適合するもの(以下「飲用適の水」という。)」
以降、平成4年の水道法水質基準の改正に伴い、平成5年11月の食品衛生調査会において食品の製造等に用いられる水の規格に係る検討が行われ、「清涼飲料水の製造基準」において、次のとおり「飲用適の水」の定義が改正されました。
「原水は、飲用適の水(水道法(昭和32年法律第177号)第3条第2項に規定する水道事業の用に供する水道、同条第6項に規定する専用水道若しくは同条第7項に規定する簡易専用水道により供給される水又は次の表の第1欄に掲げる事項につき同表の第3欄に掲げる方法によって行う検査において、同表の第2欄に掲げる基準に適合する水をいう。以下同じ。)でなければならない。」
また、当該規定は、他の個別食品の規格基準等においても準用されています。
<食品、添加物等の規格基準(昭和 34 年 厚生省告示第 370 号)>
「第1 食品一般の製造、加工及び調理基準
5 魚介類を生食用に調理する場合は、食品製造用水(水道法(昭和32年法律第177号)第3条第2項に規定する水道事業の用に供する水道、同条第6項に規定する専用水道若しくは同条第7項に規定する簡易専用水道により供給される水(以下「水道水」という。)又は次の表の第1欄に掲げる事項につき同表の第2欄に掲げる規格に適合する水をいう。以下同じ。)で十分に洗浄し、製品を汚染するおそれのあるものを除去しなければならない。」
第1欄 | 第2欄 |
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一般細菌 | 1mlの検水で形成される集落数が100以下であること(標準寒天培地法)。 |
大腸菌群 | 検出されないこと(乳糖ブイヨン-ブリリアントグリーン乳糖胆汁ブイヨン培地法)。 |
カドミウム | 0.01 mg/L以下であること。 |
水銀 | 0.0005 mg/L以下であること。 |
鉛 | 0.1 mg/L以下であること。 |
ヒ素 | 0.05 mg/L以下であること。 |
六価クロム | 0.05 mg/L以下であること。 |
シアン(シアンイオン及び塩化シアン) | 0.01 mg/L以下であること。 |
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素 | 10 mg/L以下であること。 |
フッ素 | 0.8 mg/L以下であること。 |
有機リン | 0.1 mg/L以下であること。 |
亜鉛 | 1.0 mg/L以下であること。 |
鉄 | 0.3 mg/L以下であること。 |
銅 | 1.0 mg/L以下であること。 |
マンガン | 0.3 mg/L以下であること。 |
塩化イオン | 200 mg/L以下であること。 |
カルシウム、マグネシウム等(硬度) | 300 mg/L以下であること。 |
蒸発残留物 | 500 mg/L以下であること。 |
陰イオン界面活性剤 | 0.5 mg/L以下であること。 |
フェノール類 | フェノール類として0.005 mg/L以下であること。 |
有機物等(過マンガン酸カリウム消費量) | 10 mg/L以下であること。 |
pH値 | 5.8以上8.6以下であること。 |
臭気 | 異常でないこと。 |
味 | 異常でないこと。 |
色度 | 5度以下であること。 |
濁度 | 2度以下であること。 |
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引用
>>厚生労働省:「食品製造用水」
>>厚生労働省:「飲用適の水(食品製造用水)の規定の取扱いについて(案)」
>>消費者庁:「食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)第2 添加物」