フロルフェニコール について|個別検査(魚・牛・豚)

フロルフェニコール個別検査

動物用医薬品個別検査でご依頼の多い、フロルフェニコール個別検査を開始しました。
 

フロルフェニコールとは

フロルフェニコールは、作用や構造がクロラムフェニコールと類似している抗生物質であり、牛の細菌性肺炎、豚の胸膜肺炎、鶏の大腸菌症及び魚介類の細菌性疾病の治療に用いられます。
細菌の70Sリボソームの50Sサブユニットに結合することにより、ペプチド転移酵素を阻害し、たんぱく質合成を阻害すると考えられています。
日本では、牛及び豚の呼吸器病、鶏の大腸菌症及び魚介類のビブリオ病等の細菌性疾患を適応症として使用されています。
米国、EU諸国においても牛、豚、鶏、羊及び魚類に対して使用が認められています。
 

構造式・物性

フロルフェニコール
分子式:C12H24Cl2FNO4S
分子量:358.2
常温における性状:白色の結晶性粉末
融点(分解点):約154℃
溶解性:N,N-ジメチルホルムアミドに極めて溶けやすく、アセトン及びアセトニトリルに溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、水にほとんど溶けない。
 

残留基準値

フロルフェニコール及び加水分解により代謝物FFNH2【(1R,2S)-1-(4-メチルスルホニルフェニル)-2-アミノ-3-フルオロ-1-プロパノール】に変換される代謝物を代謝物FFNH2に換算したものの和をいう。
 

食品分類名基準値(ppm)設定根拠留意点基準値(ppm)
(適用期限)
牛の筋肉0.3Ac2016
豚の筋肉0.3Ac2016
牛の脂肪0.3Ac2016
豚の脂肪0.3Ac2016
牛の肝臓4Ac2016
豚の肝臓7Ac2016
牛の腎臓0.3Ac2016
豚の腎臓1Ab2016
牛の食用部分4Ac2016
豚の食用部分7Ab2016
鶏の筋肉0.2Ab2016
鶏の脂肪0.4Ab2016
鶏の肝臓3Ac2016
鶏の腎臓1Ab2016
鶏の食用部分3Ab2016
魚介類(さけ目魚類に限る)1Acb2016
魚介類(うなぎ目魚類に限る)8Ab2016
魚介類(すずき目魚類に限る)0.3Ab2016
魚介類(その他の目魚類に限る)1Ac2016

 
残留基準設定については、農林水産省よりフロルフェニコールを有効成分とする製剤(ニューフロール、フロロコール2%液)の申請及びフロルフェニコールを有効成分とする製剤(フロロコール200注射液、フロロコール100注射液)が承認を受けた後、所定の期間(6年)が経過したため再審査申請がなされたことに伴い、内閣府食品安全委員会においてフロルフェニコールについてADI設定がなされたことによるものである。
 

許容一日摂取量(ADI)評価

食品安全基本法(平成15年法律第48号)第24条第1項第1号並びに第24条第2項の規定に基づき、平成17年9月13日付け厚生労働省発食安第0913007号並びに平成18年7月18 日付け厚生労働省発食安第0718021 号及び平成 19 年1 月12 日付け厚生労働省発食安第0112020 号により、食品安全委員会委員長あて意見を求めたフロルフェニコールに係る食品健康影響評価について、食品安全委員会において、以下のとおり食品健康影響評価が示されている。
フロルフェニコールの食品健康影響評価については、ADI として次の値を採用することが適当と考えられる。
フロルフェニコール 0.01 mg/kg 体重/日
 

分析方法

試料に塩酸を加えて加熱し、フロルフェニコール及びその代謝物をフロルフェニコールアミンに加水分解後、n-ヘキサンで洗浄し、多孔性ケイソウ土カラム及びスルホン酸塩修飾ジビニルベンゼン-N-ビニルピロリドン共重合体ミニカラムで精製 した後、LC-MS/MSで定量及び確認する方法である。
 

参考文献

1. フロルフェニコール、厚生労働省
2. 食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品の成分である物質の試験法、厚生労働省
 
 
 

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