有機炭素とC/N比|高い場合と低い場合について
肥料分析を行っている今日、有機炭素についてのお問い合わせが増えてきており、分析依頼も増加傾向にあります。
今回は、有機炭素について簡単にご紹介します。
堆肥には、「全炭素」と「有機炭素」が含まれており、堆肥の質を測る重要な指標の一つです。
全炭素
堆肥に含まれるすべての炭素の総量を指し、「有機炭素」と「無機炭素(岩石由来など)」の両方を含みます。堆肥の有機物量と比例して増加するため、土壌中の有機物量を把握する上で重要です。
有機炭素
有機物(植物の死骸、微生物など)に含まれる炭素を指します。
堆肥の堆肥化(生物の力を使って、生ごみや落ち葉などの有機物を分解・発酵させ、有機肥料を作るプロセス)の進行度合や土壌の有機物量、健康状態にも大きく関わります。
有機炭素量が多いほど、堆肥化が順調に進み、土壌改良に効果的な成分が多く含まれると推測できます。
C/N比(炭素率)
堆肥の炭素(C)と窒素(N)の比率「C/N比(シーエヌ比)」または「炭素率」も重要です。
C/N 比とは、堆肥に含まれるC(炭素) をN (窒素)で割った数字です。
炭素源と窒素源のバランスが悪いと、微生物の活動が阻害され、堆肥化がうまく進みません。
炭素が窒素に対して多ければ C/N 比は高くなり、炭素が窒素に対して少なければ C/N 比は小さくなります。一般的に、C/N比は20~30を境に、高いか低いかを判断します。
C/N比が高い場合
炭素量(C)が多く、窒素量(N)が少ない状態です。この場合、分解の過程で窒素が不足し、「窒素飢餓」に陥る可能性があります。窒素飢餓になると、植物が必要な窒素を得られず、成長が抑制されてしまいます。
このような場合は、別途窒素肥料を施すことで、バランスを取ることが可能です。
C/N比が低い場合
炭素量が少なく、窒素量が多い状態です。この場合、肥料効果が高いといえますが、
肥料効果が高くなる一方で、窒素が過剰になると作物の品質に悪影響を及ぼすおそれがあります。そのため、C/N比を適切な範囲に調整することが重要です。
>>植物の生育に欠かせない三大栄養素とは?
有機肥料選びの目安
目的に応じて、以下のようなC/N比を参考にするとよいでしょう。
C/N比10以下:速やかに肥料効果を出したい場合に適しています。
C/N比10~20:肥料効果と土壌改良効果の両方を求める場合に最適です。
C/N比を知ることで、土壌に適した肥料の種類や施肥量を的確に判断し、過剰な施肥を防ぐことができます。
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参考文献
>>農地土壌をめぐる事情 農林水産省