ミツバチの腐蛆病(ふそびょう)について

はじめに

人と同じようにミツバチにも様々な病気が存在することをご存知でしょうか。ミツバチがかかる色々な病気の一つに腐蛆病(ふそびょう)という法定伝染病※として指定されている病気があります。アメリカでは腐蛆病はミツバチが感染する病気の中で最も重い病気とされています。

※家畜の伝染性疾病のうち、その病性、発生状況、予防・治療法の有無、畜産情勢等を勘案し、発生による蔓延を防止するため、殺処分等の強力な措置を講ずる必要がある病気。家畜伝染病(法定伝染病)として28疾病が指定されている。

腐蛆病を防ぐためには

腐蛆病を防ぐには、事前の予防対策と早期の発見による拡散防除が大切です。事前の予防対策に最も有効なものとして、腐蛆病用予防薬があります。
現在、日本で承認されているミツバチ用の医薬品には、
★アメリカ腐蛆病用予防薬の「ミツバチ用アピテン(ミロサマイシン)」及び「タイラン水溶散(タイロシン)」
★ダニ駆除薬の「日農アピスタン(フルバリネート)」及び「アピバール(アミトラズ)」

の4種類です。ミツバチ用医薬品は、「動物用医薬品の使用の規制に関する省令」により使用規制医薬品に指定され、製薬メーカーにとって養蜂産業の市場規模が小さいため、種類が少ないのが現状です。

ミロサマイシン・タイロシンとは

今回はアメリカ腐蛆病用予防薬であるミロサマイシンとタイロシンについて紹介します。
★ミロサマイシン
従来品のアピテン(主成分:ミロサマイシン)の原薬の供給停止により現在製造中止となっていますが、使用は禁止されていません。

★タイロシン
現在製造・販売されている唯一のアメリカ腐蛆病用予防薬です。タイラン水溶散(主成分:タイロシン)はミロサマイシンが製造中止になったことを踏まえ、2017年9月に農林水産省の迅速な承認を受け、2018年1月にミツバチ用医薬品として発売開始となりました。

薬剤名(主成分) 疾病名 使用期間 使用禁止期間
ミツバチ用アピテン
(ミロサマイシン)
アメリカ腐蛆病 1週間 投与中・投与後14日間は食用のハチミツ等を採取できない
タイラン水養溶散 週1回を3週間 投与中・投与後28日間は食用のハチミツ等を採取できない

最後に

食品衛生法では、農薬および農産物ごとに農薬の残留する限度が定められています。この限度を示す値は「残留農薬基準値」と呼ばれており、農薬成分が人の健康に及ぼす影響や、野菜・果物等を人が一日にどれだけ食べるかなどのデータを基にして決められています。
2023年5月現在、ミロサマイシンの残留基準値(はちみつ)が0.05ppm、タイロシン(タイロシンA+タイロシンB)の残留基準値(はちみつ)が0.7ppmとなっています。

弊社ではミロサマイシン・タイロシンの測定が可能です。
詳細については、下記をご参照下さい。

ミロサマイシン検査」「タイロシン検査」のページへ

養蜂を行っている方は、使用した抗生物質に合わせてぜひご活用下さい。
また、はちみつを取り扱っている業者様もぜひご検討ください。
ご不明な点等ありましたら、お気軽にご相談下さい。

参考文献
1. ミツバチにおける病気の種類と管理方法、ミツバチの薬(動物用医薬品):一般社団法人日本養蜂協会
2. 蜜蜂用タイロシンの使用状況及びハチミツ中の残留調査について:農林水産省
3. 残留農薬基準値検索システム:公益財団法人 日本食品化学研究振興財団

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