アクリルアミドを減らすためには

はじめに

食材を加熱すると、食品に天然に含まれる成分が化学反応を起こして食品にとって好ましい味、色、香りができます。また加熱することで栄養成分が消化吸収されやすくなり、食品を食べやすくしたり、有害な微生物を殺すことができるなど有用な効果をもたらすこともあります。しかしながら、健康に悪影響を及ぼす可能性のある化学物質が生成することがあり、野菜や穀類等を加熱した際に生成する有害な化学物質「アクリルアミド」もその一つとして知られています。

アクリルアミドとは

みなさんは高温でのパンやポテトの揚げすぎなどにより黒焦げを作った経験はありませんか?
これらはアクリルアミドを発生させる原因となります。アクリルアミドは食品の原材料に含まれているアミノ酸の一種であるアスパラギンとブドウ糖などの還元糖が、揚げる、焼く、炒めるなどの加熱調理(120℃以上)により「アミノカルボニル反応(メイラード反応)」と呼ばれる化学反応を起こし、生成するとされています。

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調理方法の紹介

今回は、アクリルアミドの生成を減らすことができる調理方法について紹介します。
アクリルアミドは、「揚げる」、「焼く」、「炒める」などの調理で生成します。そのため、炒め物や揚げ物を食べる機会が多い方は調理方法を工夫してみましょう。

①食材の準備段階

  • 炒め調理や揚げ調理に使うじゃがいもは常温で保存する
    じゃがいもは長期間冷蔵することで還元糖が増えます。そのため、還元糖が増えた
    じゃがいもを炒め物や揚げ物に使うとアクリルアミドが生成しやすくなります。
  • いも類や野菜類は切った後、水でさらす
    切った後、水でさらすことで炒めたり揚げたりしたときにアクリルアミドに変わる成分
    (アスパラギンや還元糖)が食材の表面から洗い流されるので、アクリルアミドの生成を抑制することができます。
  • ②加熱調理の段階

  • 炒め調理や揚げ調理をするときは、食材を焦がしすぎないようにする
    加熱時間が長くなればなるほどアクリルアミド濃度が高くなります。いも類や野菜類を炒めたり揚げたりするときは、焦がしすぎないようによくかき混ぜながら調理しましょう。
  • 炒めるときは、火力を弱めにする
    火力が強いときに比べて、食材の温度が低くなるので、アクリルアミドは生成を抑制することができます。
    実際にフライドポテトを揚げる油の温度を変えて、アクリルアミド生成に違いがある
    かを弊社で検証してみました。動画はYouTubeに取り上げているので、ぜひご覧ください。
  • 炒め調理の一部を蒸し煮に置き換えたりして、炒める時間を短くする
    「煮る」、「蒸す」、「ゆでる」などの水を利用した加熱調理では、食材の温度が120℃を超えることがないため、アクリルアミドの生成を抑制することができます。また、電子レンジを使ってもアクリルアミドの生成を抑制する効果が期待できます。
  • 最後に

    家庭では加熱調理の際に、食材を焦がしすぎない・炒めるときは火力を弱めにしてよくかき混ぜる・蒸し煮など水を利用した加熱調理を使って炒め時間を短くするといった工夫を取り入れることで、アクリルアミドを減らすことができます。
    家庭で炒め物や揚げ物を作ることが多い方はバランスの良い食生活を実践した上で、アクリルアミドができるだけ増えないように調理の仕方を工夫してみましょう。


    参考文献
    1. 食品中のアクリルアミドについてのQ&A:農林水産省
    2. 食品中のアクリルアミドができる仕組み:農林水産省
    3. 安全で健やかな食生活を送るために~アクリルアミドを減らすために家庭でできること~:農林水産省

    弊社ではアクリルアミド検査を実施しております。
    まずはお気軽にご相談下さい。

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