ジビエを利用したペットフード

ジビエ料理を食べたことはありますか。ジビエとはフランス語で野生鳥獣肉のことをいいます。
現在、わが国ではシカやイノシシによる農作物の被害が大きな問題となっており、捕獲が進められるとともに、ジビエとしての利用も広まっています。令和3年度に処理されたジビエ利用量は平成28年度と比べて1.7倍に増加しています。そのうちペットフードに利用される割合も年々増加し、令和3年度ではジビエ利用量全体の約3割を占めています。
 
食肉として利用できるのは、食品衛生法に基づいて適切に衛生管理がされた高品質な肉のみになりますが、ペットフードでは高品質な肉以外にも、衛生的に問題はないが血抜き不良や臭いが強く食肉に向かない部位や個体(人間の嗜好と合わず食用に適さない)も利用することができ、これまで廃棄されていたものを有効利用することができます。
ただしペットフードならどんな肉でも良いという訳ではなく、食肉と同等の衛生管理がされた原料を使用することが重要です。実際にペットフードメーカーが求める原料は食肉と同じ品質と回答するメーカーが多数見られたとのことです。
原料におけるリスクとして、微生物汚染や鉛弾の残存等が考えられます。(ペットフード安全法では、ペットフード中の鉛の上限値(3 µg/g)が設定されています)ペットフード製造時は寄生虫、細菌等による食中毒リスクに配慮し、肉の中心部まで十分加熱する必要があります。充分な加熱が行われなかった場合、最終製品に食中毒菌などが残存してしまう可能性があります。また「芽胞」をつくり、100℃程度の加熱では死滅しない細菌もいるため製品によっては注意が必要です。出荷前には金属探知機による検査や微生物(大腸菌やサルモネラ菌等)の検査が重要になります。ジビエではないですが、過去に国内工場で加工された鶏ささみのジャーキーからサルモネラが検出され、(因果関係は不明であるものの)その製品を給餌された犬猫複数頭が嘔吐、下痢、血便、死亡等の症状を呈した事故が発生しています。
 
食環境衛生研究所ではジビエの有効利用に貢献できるよう、定められた方法に基づいたペットフード栄養成分検査や微生物検査、その他各種検査を取り扱っています。ご不明な点がありましたら、お問い合わせくださいますようお願いいたします。
 
 

参考

>>令和5年7月捕獲鳥獣のジビエ利用を巡る最近の状況 農村振興局 鳥獣対策・農村環境課 鳥獣対策室
>>安心・安全なジビエペットフードのために ~ジビエペットフード原料に関するマニュアル~ ジビエペットフード利用推進協議会
>>野生獣肉のペットフード利用を検討されるみなさまへ 農林水産省
>>ペットフードに関する検査
 

関連コラム

>>ジビエ 注意すべき寄生虫~吸虫って何?~
>>国産ジビエ認証制度ってどんなもの?
 

ジビエセミナー情報

>>ジビエの衛生管理に関する研修の実施について
 
 
 

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