乳アレルギーの症状|赤ちゃんやミルクとの関係、乳化剤は大丈夫?
乳アレルギーは、主に乳に含まれるタンパク質(カゼインやホエイなど)に対して免疫機能が過剰に反応することで起こります。
また、乳アレルギーは、卵アレルギーに次いで、乳幼児期に頻度が高く発症する食物アレルギーですが、大人であっても体調の変化や特定のきっかけで発症することもあります。
乳アレルギーは、卵アレルギーとは異なり、基本的に加熱によってアレルギーの起こりやすさはほとんど弱まりません。
乳アレルギーがある場合、摂取してから2時間以内に症状が出ることが多く、主に「皮膚」「消化器」「呼吸器」に症状があらわれます。
最も多く見られるのは蕁麻疹などの皮膚症状とされ、呼吸困難や血圧低下を伴う重篤な「アナフィラキシーショック」を引き起こす危険性もあります。
そのため、乳アレルギーが疑われる場合には、自己判断せず医療機関で適切な検査や診断を受けることが極めて重要です。
当記事では、乳アレルギーの症状や原因食品、乳化剤との関係、赤ちゃんの乳アレルギーとアレルギー用ミルク、検査方法や治療について解説していきます。
※乳アレルギーの症状が見られた際には、迅速で適切な処置が必要になることがあります。アレルギーが疑われる場合には、速やかに医師の診察を受けるようにしてください。

目次
乳アレルギーの主な症状|食後2時間以内に症状が出ることが多い

乳アレルギーがある場合、食べてから2時間以内に症状が出ることが多いとされています。
また、他の食物アレルギーと同様に、蕁麻疹などの皮膚症状が多く、場合によっては「アナフィラキシーショック」と呼ばれる重篤な症状が起こるおそれもあります。
乳アレルギーは乳幼児の発症が多いですが、大人になってから発症する可能性もあるため注意が必要です。
蕁麻疹、かゆみ、湿疹などの皮膚症状
咳、鼻水、くしゃみ、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難などの呼吸器症状
腹痛、嘔吐、下痢などの消化器症状
アナフィラキシー
重症の場合、アナフィラキシーとよばれる複数の臓器(皮膚と呼吸器など)にまたがって全身に激しい症状が出ることがあります。
さらに、血圧低下や意識障害を伴うものは「アナフィラキシーショック」と呼ばれ、命に関わることもあり注意が必要です。
乳アレルギーの原因食品

乳アレルギーの原因となるのは、主に牛乳や乳製品、それらを使用した料理や食品です。
乳に含まれるタンパク質は、加熱してもアレルギーを引き起こす力が弱まりにくいため、加熱調理済みのものでも注意が必要です。
また、食品表示法により、乳は「特定原材料」として表示が義務付けられています。
乳・乳製品
牛乳、ヨーグルト、チーズ、バター、生クリーム、アイスクリームなど
加工食品
パン(食パン・菓子パン)、洋菓子(ケーキ・クッキー・チョコレート)、カレーやシチューのルウ
ハムやソーセージ、スナック菓子、インスタント食品、一部のドレッシングなど
「乳酸カルシウム」や「乳酸菌」は『乳』とは別物
また、間違いやすい成分として「乳酸カルシウム」や「乳酸菌」などがあります。
これらは名前に「乳」とつきますが、成分そのものに乳アレルギーの原因となるタンパク質が含まれているわけではありません。
しかし、乳酸菌を増やす過程で乳成分が使われていたり、乳酸菌飲料のように製品自体に乳が含まれていたりする場合があります。
それらが使われている最終的な製品に乳成分が入っているかどうかは別問題ですので、必ず原材料表示を確認するようにしましょう。
乳アレルギーと乳化剤
乳化剤とは、水と油のように本来混ざり合わないもの同士を、均一に混合させる「乳化」のために使用される食品添加物です。
「乳化剤」という名称から、乳アレルギーの人は避けるべきだと思われがちですが、実際には「乳化剤=乳成分」ではなく、基本的には乳とは直接関係ありません。
乳化剤は主に卵黄や大豆、植物油脂などから作られています。
ただし、乳化剤にはいろいろな種類があります。乳成分を原料とした乳化剤もあり、「乳化剤(乳由来)」となっている場合は注意が必要ですので、原材料表示をしっかり確認するようにしましょう。
赤ちゃんの乳アレルギー

乳児期は食物アレルギーが最も発症しやすい時期です。
赤ちゃんがミルクを飲んだり、離乳食で乳製品を食べたりしたあとに、口の周りや体に蕁麻疹が出たり、重症な場合には嘔吐や激しい咳き込みがみられたりすることもあります。
こうした乳アレルギーは、生後まもなくからミルクを日常的に飲んでいる子よりも、完全母乳で育っている子に多くみられるとされています。
沖縄で行われた研究によると、生後1〜2ヶ月から毎日10mL程度のごく少量のミルクを継続して飲み続けることで、将来の乳アレルギー発症リスクを大幅に下げられる可能性が示されています。
※ただし、これは「予防」に関する研究報告であり、既にアレルギーが疑われる症状が出ている場合には、自己判断でミルクを与えることは危険ですので、医師に相談するようにしましょう。
また、注意が必要なのが、生後まもなくミルクを問題なく飲めていた子でも、数ヶ月間ミルクを休止し、離乳食時期に久々に飲むとアレルギー症状が出るケースもあります。
そのため、完全母乳で育った子が離乳食で乳製品を開始する場合や、久しぶりにミルクを再開する場合は、慎重に進めましょう。
まずはごく少量のミルクを離乳食で使い、そこで症状が出なければ、与える量を少しずつ増やしていくようにしましょう。
アレルギー用ミルクとは
子どもが乳アレルギーと診断された場合、どんなアレルギー用ミルクを与えれば良いのか迷う方も多いのではないでしょうか。
乳アレルギーの代替品として「アレルギー用ミルク」があります。
アレルギー用ミルクとは、アレルギーの原因となる牛乳タンパク質を細かく分解したり、別の原料を使ったりすることで、アレルギー反応を起こしにくくしたミルクです。
大きく分けて以下の3つのタイプがあります。
加水分解乳(高度加水分解乳)
牛乳のタンパク質をあらかじめ細かく分解したミルクです。
アミノ酸乳
牛乳のタンパク質をさらに細かく「アミノ酸」レベルにまで分解したミルクです。
加水分解乳を使用しても症状が出てしまう場合、アミノ酸乳を使用します。
調整粉末大豆乳
牛乳タンパク質ではなく、大豆を原料としたミルクです。大豆アレルギーがない場合の選択肢となります。
アレルギーの症状や程度は、お子さんによってそれぞれ異なります。
自己判断でミルクを選んだり切り替えたりせず、まずは医師に相談しましょう。
乳アレルギー検査方法と治療

乳アレルギー|検査方法
乳アレルギーの主な検査方法としては、「問診」「血液検査」「皮膚プリックテスト」「食物経口負荷試験」があります。
※検査内容は医療機関によって異なる場合があります。
≪血液検査(特異的IgE抗体検査)≫
血液中の「乳」に対する抗体の量を測ります。
乳に含まれるタンパク質の成分である「カゼイン」や「ホエイ」などの数値を測定します。
数値により、加熱した乳製品なら食べられる可能性があるかなど、より詳細な傾向を把握できます。
≪皮膚プリックテスト≫
皮膚に少量の成分をのせ、針で軽く突いて反応を見る検査です。
≪食物経口負荷試験≫
医師の厳重な管理下で、実際に乳製品を摂取して反応をみる方法です。
症状を誘発させる検査であるため、必ず専門設備がある病院で行われる必要があります。
※アレルギーの疑いがある場合は、まず専門医のいる内科や小児科を受診し、自宅で試すようなことは絶対に避けてください。
乳アレルギー|治療
乳アレルギーの治療は、原因物質を一切避ける「完全除去」ではなく、正しい診断に基づき、症状が出ない安全に食べられる範囲で摂取をする「必要最小限の除去」が基本的な考え方とされています。
医師の管理のもと加熱時間や調理方法を工夫しながら、安全に食べられる量を少しずつ増やしていきます。
ただし、アレルギーの重症度や過去の症状によっては、安全を最優先して完全除去が必要な場合もあります。
「必要最小限の除去」は、必ず医師の診断・指導のもとでことが不可欠です。
自己判断での摂取は、命に関わる危険があるため絶対に行わないでください。
また、万が一、症状が出てしまった場合に備え、内服薬や、重症な場合に備えた自己注射薬(エピペン)の携帯など、緊急時の備えも並行して行われます。
まとめ
乳アレルギーは、乳幼児期に多いアレルギーの一つですが、正しい知識を持つことで安全に付き合っていくことができます。
基本的に、加熱調理をしてもアレルギーを引き起こす力は弱まりにくいため注意が必要ですが、医師の管理のもとで「症状が出ない安全な範囲」を見極めていくことが治療の第一歩となります。
乳や乳製品を摂取し、皮膚の赤みや呼吸の乱れなど、少しでも気になる症状があれば自己判断せず、すぐに専門医を受診することが大切です。
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